『縦すべりだし窓』聞いたことありますか?
ここ最近、住宅の高断熱高気密化に伴い従来の引違い窓にかわり採用が増えているのがこの縦すべり出し窓です。
ワタシが住む極寒の地北海道では、かなり前から積極的に使われているので、
今では最もよく見かける窓といっても過言ではありません。
今回はそんな『縦すべりだし窓』についてご紹介してみます。
縦すべりだし窓のメリットって何?
さて、窓はそれぞれに得て不得手、つまりメリット・デメリットがあるわけですけど、
まず縦すべりだし窓を選んだ際のメリットをあげてみます。
風をつかまえやすい形状なので通風・換気に優れている
ワタシは縦すべり出し窓の最大の特徴はコレだと思います。
窓の障子が外側にせり出すように開くので、建物間を吹き抜ける風を効率的に室内に取り込んでくれます。
このことを『ウインドキャッチ』なんて呼ぶこともありますね。
一方、昔ながらの引き違い窓は窓の正面から吹いてくる風は十分取り込めるんですが、
建物の壁に沿って流れる風の取り込みはあまり期待できません。
都市部の住宅の場合、窓前に十分なスペースを確保できるケースは限られ、隣地の建物によって正面からの風を遮られる場合がほとんどです。そこで本領を発揮するのがこの『縦すべりだし窓』だというわけです。
開く方向や設置箇所を工夫することで、単に引き違い窓を取り付けた場合に比べると、何倍もの風を取り込めることが可能になるんです。
その差〇倍!?縦すべりだし窓を上手に活用するための3つのポイント
引き違い窓と比べて気密性(隙間が小さい)が高い
気密性については縦すべりだし窓が高いというか、引き違い窓が低いというか。。。
とにかく従来窓の主役であった引違い窓と比べると、あきらかに気密性が高くなるので断熱性・遮音性の向上が期待できます。
この気密性の高さが北海道において引き違い窓より縦すべりだし窓が好まれて多く採用されるいる理由というわけです。
知ってる?新築住宅 窓の一部に引き違い窓をおススメする理由?
幅が狭くても開閉可能な窓として計画できる
構造上縦長のスリムなサイズが豊富なのがこの『縦すべりだし窓』
引き違い窓が取り付けできないような限られたスペースでも開閉可能の窓として取付が可能です。
またスマートな印象の縦長デザインを好まれる方もきっと多いはずですから、
外観デザインのバリエーションが広がりますよ。
縦すべりだし窓のデメリットって何?
当然ながら縦すべりだし窓も良い面があれば悪い面もあります。
開けたままは危険!雨の日はずぶ濡れ。
縦すべりだし窓は障子が外側にせり出すように開く構造なので、
もし、窓を開けた状態で雨が降ると窓ガラスの内側まで濡れてしまいます。
よほど雨がひどくない限りそこまで室内に雨は吹きこんでは
簡単にいっていまうと、、雨の日に窓が開けられないってことですね。
もちろん庇をつけたり、屋根の軒の出を大きくするとある程度の対応できるのですが。。。
デザインや間取りによっては対応が難しいことも少なくありません。
ですから、ワタシの場合、場所や使い勝手に吟味しつつ、縦すべり出し窓だけでなく
引き違い窓や横すべりだし窓を組み合わせてご提案することが多いですね。
『適材適所』ということです。
窓の開閉時に虫が室内に入りやすい
縦すべりだし窓ように外側に開く窓の場合、普通網戸は室内側に取りつくことになるので
まず窓を開けてから、室内側の網戸を閉めるという手順になるんですが、
この網戸を閉めるまでのわずかな隙に室内に虫が侵入してしまうというわけです。。。
夜窓を閉めようとした際は、更にやっかいかもしれません。
窓を閉めようとすると、網戸には室内の灯りに引き寄せられた虫たちが網戸に付着していて、
窓が閉めることができない状態に。
そのまま網戸をあけてしまうと室内に虫の侵入を許してしまうという事態になってしまうんです。
もちろん電動ユニットで開閉する場合や、オペレーターハンドルという室内側からクルクルと機械仕掛けで窓を開けられる仕様設定を選択した場合には、網戸はあらかじめ固定網戸として取りついているのでこの問題は発生しません。
でも、個人的にはこのオペレーターハンドルでの窓の開け閉めって、ものすごく苦手なわけで。。。
使ってみるとわかるんですけど、とっても大変でワタシならなかなか積極的に開ける気になれません。
やっぱり窓は開けやすく、そして閉めやすいものでなければいけませんよね。
ですから虫がどうしても苦手って方で採用をご検討される方は要注意ですよ。
窓先の障害物には気を付けて。。。
何度もお伝えしているように、縦すべりだし窓は障子が外側に開きます。
ですから、窓先になにか障害物があれば窓を開閉することができないわけです。
当然ながら防犯用の格子窓の設定もありません。
(開口がそれほど大きくはないのであまり需要がないだけかもしれませんが。。。)
特に住宅に寄せてカーポートを計画する場合には十分に気を付ける必要があります。
カーポートの足が邪魔で窓を全開できない!なんてことにならないようによく検討しておきましょう。
まとめ
今回は『縦すべり出し窓』についてお伝えしてみました。
メリット
・通風・換気に優れている
・気密性が高い
・縦長のデザインが豊富で幅が狭い場所でも開閉可能な窓が設置できる
デメリット
・雨の日に窓を開けることができない
・窓の開閉時に虫が入りやすい
・窓先に障害物があると開くことができない
どんな窓もすべてにおいて完璧なんてことありません。
ぜひ、今回あげたメリット・デメリットを参考にして後悔しない窓計画を考えてみてください。